このようなお仕事はリフォームというのでしょうか。

確認申請の伴わない方法でないと、とてもじゃないがが、ご予算や現形状等の
諸条件を鑑みますと、お施主さまのご意向を充分クリアし兼ね、約２年にも及ぶ
行ったり来たりの打診を経て、業者さんの御理解も多々頂き、遂にお施主さん、
設計士そして業者の３身一体になって完成させたお宅です。

塩釜市街地特有の間口９，００ｍに対して、奥行
き４５，００ｍという超細長敷地に、京都の町屋風
に、中庭を施した廊下でカステラ的お部屋をつな
げた、敷地一杯の、部分２階建ての築５０年もす
る既存建物。
隣接する２つの敷地に、それぞれこのような建物
が建っていて、１棟は事務所付きコンクリートブロ
ック造の車庫付き住宅、１棟は貸店舗付き住宅。
どちらも１棟に３か所も階段のある、複雑怪奇な
平面で、現地調査での間取り取りで、我がスタッ
フはどんなにか四苦八苦したことか。

司法書士事務所を営む病弱のご主人と、何１０年と病院事務勤務をされておっ
た奥様と、男女成年のお子達という家族構成ではあるが、奥様の近い定年、お
子達の家からの独立等、将来への家族の在り様が今一判断し兼ねる状況で、
お施主さま達も家造りにおいて、ネバならない要素があるようで、ないようでが
実情だったように思います。

私は勧めました、今住んでいる自分達の事だけ考えてはと。

資金的にも共有するのであれば別ですが、基本的には戻るか戻らぬか解らな
い子供達との同居した場合を前提に捉えるのはお止めになったらと云うのが私
の設計方針です。

かくして２年越しの計画が纏まりました。
後は、実務としての私達の問題、任しと
いてと言わんばかり、悪戦苦闘の実施
計画と設計、見積、施工業者選定、工
事契約そして現場指示、チェック、仕様
決定と完成引き渡しまでの、いつものお
仕事ぶり、お施主さんは最後まで実のと
ころ、どんな住まいになるのやらとあっち
の部屋こっちの部屋に寝床や生活の場
を移動しつつ、ど暑いあの夏場の建築の
成り行きを見守っていたそうです。

風が入って涼しく気持ち良い、陽の光が
充分に入って明るく気持ち良い、収納が
沢山あって思った以上に片づいた、車の
騒音も気にならなくなった、動線が短くな
り生活がし易い等など、喜んでおられる
お姿を拝見出来、今回も又、設計者冥利
に浸る事が出来、良い思い出のお仕事を
させて頂き、本当に嬉しかったです。